《MUMEI》

「グラタンはやっぱり美味い!」
「日高はグラタン好きなんだ」
「うん、おかん作ってくんねーし…、あ〜うまい」
細い目を更に細めて本当においしそうに食べてる。
作り手も奢る方もこれならなんの文句もない。
「まこちゃんごめんな?カリカリして」
「あ、俺がワリーんだし、あやまんなよ」
ペンネにフォークを刺しながら俺は答える。

「あ〜つか、…今頃あいつらエッチしてんのかな?」
「は、何だよいきなり…、まあ、そうかもな」
「は〜、羨ましい、俺もして〜よ…」
日高はコーラんぐびぐび飲み出す。

「…する?」

「は?何を」

「セックス」

日高は空になったグラスをじっと見つめながら、ちょっと顔が赤くなった。
「…したいけど、何?紹介してくれんの?」
なんて、小さな声で言って

「いや、俺と」
俺は最後のペンネを口にほうり込み、バックから煙草を出す。
「はあ?」
日高は弾かれた様に俺を凝視してきた。
俺は煙草に火をつける。

「聖の一件で何?
男同士ってどうなのって興味湧かなかった?試してみね?」
ちょっと…いや、


ほとんど冗談だったんだけど……


「……うん…」

日高は凄く恥ずかしそうに頷き、そして僅かに体を震わせだした。

「お願いします」

そう言い、俯いてしまった。



お願い


されてしまった。

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