《MUMEI》

海南のパス回しから、


クロにボールが渡る。


(わかりますよね?)


視線を変えず、


ポストへパス。


「おっ…」


「ナイッシュー!!」





(…やるじゃん。)





「バシッ!!」


相手のロングシュートを止める恭介。


「こっちこっちこっち!!」


(はぇ〜!!)


クロの速攻が、


「ナイッシュー!!」


決まる。


そして試合は進み、


「ありがとうございました!!」


海南クラブが42点という得点を叩きだし、


初戦を勝利で飾る。


クロの得点は11点。


(…やっぱ、


やっぱこいつは本物だった…。)


恭介がクロに抱いていた感情は、


試合を通して全く別の物へと変わっていた。


2日間の日程を終え、


準決勝で敗退した海南クラブ。


大会は終わったというのに、


コートに1人立つ男がいた。


「…もうちょっとだったんだ。


もうちょっとで勝てたんだ…。」


「黒田…。」


クロに近づく恭介。


「恭介。」


「ん?」


「僕のこと海南クラブに入れて。


ちゃんと練習にも出るよ。


やっぱこんな…


こんな形でハンドは辞められない…。」


「…もう頭数入れてんだよ。」


「それともう1個。」


「…何?」


「僕のことはクロって呼んで。」


「…わかった。」

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