《MUMEI》
アパートで待ち伏せ
「何してるんだ? 祐」


俺の言葉に、座っていた祐は顔を上げた。


「おかえり…って…」


(ん?)


祐の視線はある一点に釘付けになった。


「…これ?」


俺は、視線の先にあった


志貴からもらったチョコレートの入った袋を持ち上げてみた。


祐は立ち上がり、無言で何度も頷いた。


「だ、…、ハ、ハクション!」

「まぁ、入れよ」


祐を気遣ってというより、俺は自分が寒さに耐えられ無くなり、祐を部屋に招き入れた。


「悪いな〜」

「風邪引かれたら困るからな。それより、何しに来たんだ? こんな時間に」


時刻は午後七時だった。


「まぁ、まずはメシにしないか?」

「はぁ?」


首を傾げている間に、祐は次々におかずを並べていく。


「おい…」

「あ、大丈夫。俺の分だから」


(そうじゃなくて…)


「食べたら話すから」


祐は笑いながら言った。


そして、俺はいつものように配食サービスのおかずと自分で炊いたご飯を


祐は、持参したあり得ない量のおかずと、あり得ない数のおにぎりを


ほぼ同時に食べ終えた。

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