《MUMEI》
「マジかよ、俺どうすんだよ」
磨りガラスごしに見える日高のシャワーシーン。
運悪くファミレスの斜め向かいがつまらない、ちょっと古めかしいラブホで。
冗談でしたとは言いづらい雰囲気の日高と…流れでラブホに入ってしまった。
まだ浴びだしたばかりなのに、部屋に入ってから三本目の煙草に火をつける。
「どうすんだよ…」
男同士なんて…
しらねーぞ…。
つか、日高とか?
お世辞にも何にもひっかからない凡人顔の日高。
せめて聖位可愛いらしかったら頑張って抱けるかも…
いや!俺が抱く方でいいんだよな?
日高、まさか俺を抱く気とかないよな?
−−−−いや、
普通抱く方望むだろ。
「ごめんね…」
俺はバックを掴み立ち上がる。
出よう…、まずいって…
ガチャ
「ごめん、次…入れよ…」
腰にバスタオルを巻いた日高が出てきた。
「…あれ?どうしたの?」
不安げに俺のバックを見てくる日高…
「あ?いや、た、煙草買ってこようかなって…」
「煙草?あ、俺のジーパンのポケットに入ってるよ、同じマルボロ」
日高はほっとして小さなタオルで髪を拭きだす。
「あ?ああ、うん…」
−−−やばい…
日高はベッドに座り、むきになった様に更に髪を拭く。
「浴びてくる…」
俺はそう言い、バスルームへ逃げた。
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