《MUMEI》 祐がここを選んだ理由「事情はわかった。でも、何でうちに?」 隣に仲村さんと屋代さんがいるなら、尚更俺の所に来るのは間違っているような気がした。 ただでさえ、二人は俺に関係がバレてしまって以来、声を抑えたり回数を減らしたりと気を遣っているのだ。 (まぁ、実際気を遣ってるのは仲村さんだけだけど) 屋代さんは、俺と忍の演技の声を聞いてから、遠慮が無くなった気がした。 「だって、俺の友達の中で一人暮らしは祐也だけだし」 「…柊のとこにでも泊まれば?」 「バレンタイン前日の恋する乙女全開なヤツの側にいれるか! あいつ話長いし、俺、希の兄なんだぞ」 「あ、兄なんだ」 双子だから、今まで特に気にしていなかった事実に少し驚いた。 「いや、反応するポイント違うから」 「あ、悪い」 俺は、希先輩にチョコレートをもらえるか緊張している柊を想像してみた。 「それは、近くにいたくないなあ…」 「だろ!? 頼むよ!」 祐は俺に頭を下げた。 (仕方ないなぁー) 俺は結局祐を泊める事にした。 祐はお礼にと、作ってきたトリュフチョコを俺にくれた。 俺は、その夜はとりあえず志貴のチョコだけを食べてから寝た。 前へ |次へ |
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