《MUMEI》
友チョコ
ピンポーン


(…? 誰だ?)


俺は、ゆっくりと布団から起き上がった。


隣の布団では、まだ祐が眠っていた。


(寝てる時だけは大人しいな)


意外な事に、祐は寝付きも寝相が良く、隣で寝ていても気にならなかった。


ピンポーン


もう一度チャイムが鳴った。


(この感じ…まさかな)


恋する乙女全開なヤツが、ここに来るはずは無いと思った。


「は…い …」

「お、おはよう、祐也。はい、これ」

「何? …これ?」


今日は二月十四日で、もらうものは一つしかないとわかっていても、俺は確認してしまった。


「チョ、チョコレートに決まってるだろ」


真っ赤になって、モジモジしながら、その男


柊は、俺にチョコレートを押し付けた。


「お、俺、友チョコって…
やってみたかったんだ」


『友チョコ』


それは、最近俺が覚えた単語だった。


(でも、確か…)


「これ、男同士は変だろ」

「え! えぇ!?」


俺の言葉に柊は悲鳴を上げた。


俺の記憶が確かならば、友チョコは、女同士で交換するチョコの事


だと、思った。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫