《MUMEI》
悶々としながらシャワーを浴び、部屋に入ると既に明かりは落ちていて…
ベッドサイドにある小さなライトだけがぎりぎりの明るさでついていた。
日高はすでにベッドの中。
俺は女相手にだって久しく味わっていない、あの緊張感に一気に包まれた。
とりあえず髪をごしごし拭きながらベッドに座る。
すると日高は気のせいかもしれないが一瞬びくついた。
壁際に体を横向きにし、俺からは日高の表情を読み取れない。
「な、日高怖いんじゃないのか?」
「…当たり前…だろ…初めてだし…」
奮える声。
小さな小さな…
やっと話してる…
−−−おじけさせて途中でダメにしてやるか?
俺は浅はかにもふとそう思い、ベッドにがばっと滑り込んだ。
と、同時に日高はヒィと小さく呻き、俺はそれを聞き逃さなかった。
露骨に日高の上に覆いかぶさり、俺は力いっぱい日高を抱きしめる。
そして耳元で囁いてやった。
「俺がヤる方な…」
すると日高は小さな声で
「わかってる…
優しくして…」
−−−と、言った。
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