《MUMEI》

でも、楽しい時間は過ぎるのが早い――…。



「あら、いけない…

…もうこんな時間…。」


しずか君は、図書館の時計を見るなり、慌てて勉強道具を片付け始めた。



「どうしたんだい?

…まだ宿題は終わってないよ。」


「うん。ごめんなさい。

…ちょっと約束があるの。」


「バイオリンの習い事かい?」


「うぅん。そうじゃないわ。

…今日は、のび太さんが家に遊びに来るのよ。」



その名前を聞いた途端、僕の心に“嫉妬”という名の小さな棘が、チクりと刺さった…。

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