《MUMEI》

俺は“レイ”と同種かもしれない。


……相手は否定したいみたいで、俺が好意的な態度を取ると上手くかわしてくる。
姉を毒牙にかけた悪い男とでも思っているようだ。

誑かしたつもりはない。
……良い子でもないが。



かわいらしい印象を持たせておきながらレイは時折、狼みたいに孤独感を漂わせている。
浸蝕させない領域を作っているのだろう。

それが国雄を惹きつける一因だったのかもしれない。


食事会の彼女はむしろ萌の方が魅力的で、大人しくしていて話しかけるなオーラを醸し出していた。

にしても国雄のスーツは怖いくらい似合う。
若い女性群は彼を見付けると色めき立つ。

そして俺は昭一郎の整然と背筋を伸ばし色めき立つ女子を一瞬目で追うことを確認しては言いようの無い怒りを覚えた。


嫉妬…… か、

誰が?

誰を?


嗚呼、面白いよ。
俺が思うに
おすまししながら、淡々と、優雅に、
嫉妬渦巻き
行われたお食事会は随分と楽しいひと時になっている。

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