《MUMEI》

「……やっぱり、寄生した身体の中で休むのが一番いいね。もう直ってきた」
滝川の体組織を啄み、それを媒体に陽炎は己が身の再生を無意識に行う
ソレが更に滝川を苦しめる事になり
美しい白花が咲くそこに、到底そぐわない呻き声が鳴り続けた
「陽炎、やっと、やっと会えた。ずっと会いたかった……」
至福の表情を浮かべ、少年は滝川へと口付けながら滝川の中にいる陽炎を直に感じる
口付けが深くなればなる程に滝川の意識は遠のき
「……の、ぞむ。助け――」
最早吐息でしかない声で
それでも滝川は深沢を呼び続ける事を止めることはなかった……

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