《MUMEI》
右サイドクロ
「…黒田さん右サイドすか?」


「え?あぁそうそう。
今日はね。」


「…足引っ張ったら殺しますよ?」


「…それ僕に言ってんの?」


「猪狩、クロさん、行きますよ?」


「あぁごめん。」


「1本行こう!!」


ボールは猪狩チーム。


ポストの阿久津がディフェンス内に入る。


ボールは翔太から、


千葉、未來、千葉、翔太。


そして猪狩へ。


(…来るか?)


1対1を警戒するユキヒロ。


(絶対抜かせね〜…)


「…」


猪狩は、


「キュキュッ…!!」


スピードを付け1対1を仕掛ける。


「くっ…!!」


かろうじて反応するユキヒロ。


そして猪狩はその勢いを殺さない内に右サイド、クロへパス。


(いきなり1対1で点取っても流れは来ないからな。


ここはもっと…)


猪狩が考えている間にクロは、


「キュキュッ!!」


「えっ!?」


日高に1対1を仕掛けていた。


「おい!!」


思わず声を上げる猪狩。


(初っぱなからサイドが1対1からシュート打ちに行ってんじゃね〜よ!!)


猪狩はそう思う。


しかし赤高の選手たちは、


(クロさんが1人!?)


完全に裏をかかれていた。


セットプレーでのクロへの警戒はポストパスへと行っていた為だ。


クロのサイドシュート。


誰もが度肝を抜かれた。


しかしクロの性格上、そのプレーは考えられない。


そう思う男がいた。


その判断は、


数秒遅れで赤高の選手たちにも訪れる。


「スカイだ!!」


クロはサイドシュートから、


翔太へとパス。


数秒の遅れは、


致命傷だった。


クロのパスを空中で取る翔太。


(やられた…)


「ナイッシュー!!」


前半1分。


先取点は猪狩チーム。

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