《MUMEI》

やがて僕は『源』の表札が掲げられた家の前で立ち止まったのさ…。



すると――――…


「やだぁ、のび太さんたら!(笑)」


「アハハハハ…しずかちゃんと一緒に居ると楽しいなー!」


開けられたままの二階の窓から、楽しげなしずか君の声と、しまりの無い笑い声が聞こえてきたんだ…。



その声を聞いた途端、先ほど僕の胸に刺さった“嫉妬”という名の棘が、ジクりとうずいたのさ。



――…しずか君…どうして…?



…なんで、そんなちっぽけな奴と仲良くするんだ…。



…僕は、のび太より勉強が出来るし、スポーツも万能だ…。



…それにルックスだって申し分ない…。



…僕は、のび太が持ってないものをすべて持ってるじゃないか…!?

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