《MUMEI》
 結菜(ゆうな)
姉からの電話、メール、はスルーしてた

俺は、いまさら姉弟にもどれないから…
 
実家に帰るつもりなんかなかったから
友人の所に停まったり、
漫画喫茶で仮眠したり、
 
それでも、ちゃんと大学に行く俺…
 
幼い頃から、擦り込み教育を受けた、俺の性格かな
 
こんな所は、昔も今も、俺そのもの、なんだな…
 
…服…買わなきゃ…
バイト探さなきゃな…

 
 
キャンパスから、地下鉄の駅に向かうとき
 
姉「大翔!」
 
振り替えると姉が居た
 
俺「ねーちゃん…」

姉に手を引かれ、人混みから出る、
 
さらに姉は歩き続けた

俺の手を強く引きながら

俺「どこ行くんだよ」

姉「大翔!どこに居たの!」
「家に戻ったんじゃなかったの?」
 
俺「戻る訳ないじゃん」
 
姉「心配したんだからね」 
俺「…姉として…だろ?」 
姉「…」
 
俺「心配ないよ…学校も行ってるし、…」
 
姉は泣き出した
 
姉「…ずっと、探してたんだよ…」
 
姉に繋がれてる手が、震えてた
冷たく、
冷えきってる姉の手
 
俺「…いつから、待ってたの…」
 
姉「…今日は、朝8時から…」
 
今日はって…

今、午後4時過ぎだよ…
 
俺「ねーちゃん、なにやってんだよ!」
 
姉「あんたこそ!なにやってんのよ!」
「どんだけ心配したと思ってるの!!」
 
通りかかりの人達が、俺たちを、チラ見して行く
 
俺「…」
 
姉「…帰ろう」
そう言って、俺の腕をつかんだ
 
30分以上歩いて、姉のマンションに着いた
 
姉がドアを開ける
 
姉「大翔、入ろうよ」
 
俺は、ためらいながら、部屋の中へ…
 
姉「今ヒーター入れたから、何か飲もう!、珈琲でいい?」
 
ケトルを火にかける姉
 
俺は、姉を後ろから抱きしめた…
 
俺「…ゆ・う・な…」
「そう、呼べないなら…」「俺は、ここに…  
居られないんだ…」
 
姉「…いいの?…」
「飽きたから、ポイって捨てられたら…」
「わたし…気が狂っちゃうよ…」
 
俺「俺、そんな奴に見えるんだ…」
 
姉「…ちがうよ!」
「不安なの…」
 
俺「俺は覚悟決めてる」
 「たとえ…血が繋がってても…」
 
姉「…それだけじゃないよ…」
「…犯された…女だよ…わたし…」
 
俺「…知ってる…一番近くに居たから…」
 
姉「…嫌じゃ…ないの…」 

俺「めっちゃ!嫌だ…」
「けど…きっと…」
「傷を、消せは、しないけど…薄める事は、出来る」 
姉「…」
 
俺「時間、かかっても…」「俺が、薄める」
 
姉「ひろ…」
 
姉の唇をふさいだ
 
俺たちは、泣きながら、永いキスをした
 
姉「…ひろ と…」
 
俺「ゆうな…」
 
ケトルは、沸騰して、騒ぎ、俺たちの邪魔をした
 
俺は火を消し、キスを、
つづけた
 
お互いの、舌を絡ませ
確かめ合うように
 


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