《MUMEI》

僕が怒りに震える拳を握っていた、その時――……



『…いや……のび太は、お前が持っていない物をちゃんと持っているぞ…』



―――…さっき図書館で聞こえた声が、僕の耳奥で唸るように囁いたんだ……。



「誰だ!?」


僕は得体の知れない声に、辺りをキョロキョロと見回したのさ…。



しかし、しずか君の家の前には僕以外、誰もいない――…。



「気のせいか…?」


僕は、彼女の部屋の窓に視線を戻した。



すると、次の瞬間―――…!


―――…バサッ…!


「うわッ!」


いきなり僕の顔に“黒い何か”がぶつけられたんだ…。

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