《MUMEI》
癒し
(…ん?)


屋代さんと別れて、部屋の前のポストを確認すると、宅急便の不在通知が届いていた。


心当たりは無かったが、とりあえず、連絡をしてみた。


数分後。


段ボールを抱えた宅配会社の男性がやってきた。


「北海道の遠藤さんからです」

「あ、ありがとうございます」


俺は、ハンコを押して荷物を受け取った。


(チョコレート…じゃないよな?)


箱いっぱいにチョコレートが入っていたらどうしようかと心配しながら、箱を開けた。


そこには、チョコレート色のカーディガンと、白いハンカチと封筒が入っていた。


『ハッピーバレンタイン!

チョコレートは山ほどもらっていそうだから、カーディガンにしてみたよ

ハンカチの刺繍はキヨさんだよ

写真は、葉月が撮った

美緒』


同封された写真には、少し痩せた春日さんと美緒さんが並んで写っていた。


元々春日さんは痩せているから、不安にはなったが、その幸せそうな笑顔にホッとした。


(苦労したんだろうな)


ハンカチには、少し不格好な俺のイニシャルが刺繍されていた。


こうして、俺の長い長い一日がやっと…


忍に電話して、終わった。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫