《MUMEI》

「愛が…憎い?」

俺は信じられなかった。

「…そうだ。私はかつて主といえども、卑怯な駆け引きは見逃せなかった。しかし、私は…試練を与えようとする権利がある」

淡々と話をする主の姿に、俺と翔は呆気に取られていた…
「あんた…アタシらはね、言い伝えで守っているんだよ!いくら別れようったって出来ないんだから」

吐き捨てるように言うと、ドカリと下に座った。

「…そう、分かっているさ。自分だって。試練を与えるのが使命なんだから仕方ないだろう」

酷い事だ…
俺はゆっくり座り、主に伝える。

「私たちは別れたりしません。どうか…この場から去って下さい」

その時、携帯が鳴った!

(誰だ?…)
俺はふと見上げ、すると、光っているじゃないか!

「…私はこの場から立ち去ろう…二人とも、頑張れよ」

そして、主は消えた。
恋の主とも言うべきか…

俺は自分の部屋から出て、電話を握り絞める。

「…はい、もしもし」
「紀和!翔がいなくなったんだ!今学校が終わって大騒動になってる!」

アハハ…これはもう笑うしかねぇや…

「すまん、それ…俺のせいかも」

右手を頭に当てて、壁に寄れかかった。

「…!」

大悟の奴…さぞかし驚いたろうな…

「大悟!本当だって!」

「…分かってる…俺、ごめん、思い込みで悪く思ってしまって…」
「いや、俺が悪いんだ…」
良かった、誤解がとけた…大悟は俺を大事に思ってくれている。友達以上に…


「じゃあ、翔を頼むわ。俺…お前のとこの兄貴に伝えておくから」
「あぁ、よろしく」
そして、電話を切った。
自分の部屋に戻ると、翔はベッドの横で座っていた。

「…翔?」
「大悟からだったの?」
「あぁ」
翔に寄りそって抱きしめた。
「紀和…どうしたの?」
「いや、お前の夢を…何度も見たからさ…」

苦痛の笑顔で翔を見る。
そして、思いっきり翔を押し倒した。

「…フローリングじゃ痛いぜ?」
「ベッドの上でヤろうか?」

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫