《MUMEI》
秋穂 転入
「今日はホームルームを始める前に、みんなに伝えることがあるんだ」
落合が生徒達の前で言う。
「実は、今日から新しいクラスメートを迎えることになったんだ」
落合の言葉に生徒達はざわつく。
「男子かな?女子かな?」
「何でこんな時期に?」
「みんな静かにしろー」
生徒達のざわめきを落合が静める。
「彼女は家の都合でこんな時期に転入してきたが、みんな仲良くするんだぞ。じゃあ、入ってきて」
そう言って落合が廊下にいる秋穂に声をかける。
生徒達が廊下に注目する。
扉を開けて秋穂が教室に入ってきた。
その時、周哉は昇と奈々と春の顔を覗き見て、ちょっと笑う。
なぜなら、三人が三人とも有り得ないって表情をしていたからだ。
(そりゃ驚くよなぁ)
と周哉は思う。
昇に至っては、あごが外れたか、と思う位口を開けていた。
周哉が三人の事を見ていると、秋穂が自己紹介を始めた。
「初めまして、高原秋穂って言います。これから宜しくお願いします」
秋穂の自己紹介の時、周哉の事を見てきたクラスメートがいた。
(名字一緒だもんな)
「じゃあ、高原さんの席は・・・、あそこだな」
そう言って落合が指差したのは、周哉のとなりの席だった。
秋穂がそこに座る。
「よろしくね。周哉君」
「ああ」
朝食の時の話し合いで、外では、秋穂は周哉のことを「周哉君」と呼ぶことになった。
「じゃあ、ホームルームを始めるぞ」
落合がそう言ってホームルームが始まった。

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