《MUMEI》 繩帯を解く千石様を初めて見た。 刺された傷痕の近くには銃痕が刻まれている。 「あ……」 臍に千石様の指が入りピアスが深く肉に沈んだ。 「感度良く育ったな、私の仕置きが好きなんだろう……?」 攻撃的な言葉と共に内股を噛まれる。 「 す……き……です」 刺激に炙り焼かれる背筋から押し上げられた快楽には逆らえ無い……。 口から零れ落ちるものはそんな低俗な意識だけでは無い。 もっと、私の奥に眠っている…………愛? 「躱同様に素直になったじゃないか。」 肉を押し入ってくる指と耳から脳へと蕩かす声が確実に私を束縛してゆく。 「 ……ア、 っン」 「――――まだだ、まだ唏ける。」 千石様は引き出しから麻繩を取り出して来た。 「繩か刃物か、死に方を迷ったが繩は止めた。モモが最も娥しいから……ほら、お前の肌によく栄える。」 麻繩が私の首に巻き付く。 繩が皮膚を擦れる度に新しい心地良さが生まれた。 後ろ手に組まされ、胡座を作られた。 繩により首を引かれ前屈みになる。 慣れた手つきで千石様は繩を複雑に結ってゆく。 首、手首、脇を三点を繩を通して背中に集まるように硬く結んであり、首と足首は床に擦り付けるくらいに接近し、小さく丸まるように縛られた。 「……酔ってきたか?」 息も絶え絶えになった私の耳を摘み、よく聞こえるようにして囁かれた。 前へ |次へ |
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