《MUMEI》
バレた!?
「こちらが皇太子様のお部屋でございます。」
「そうか。案内ありがとう。」
「いえ。これも水姫としてのつとめですから。」
「そうか。悪いが二人きりで話したいので侍女たちを下がらせてくれないか?」
「はい、かしこまりました。
葵!今日は子供達と遊べないから、遊べなくてごめんなさいと謝っておいてくれない?
その代わりにたくさん遊んであげてね?」
「はい。かしこまりました。」
「子供?」
「ええ。私子供が好きで毎週水曜にこの街の子供達と遊んでいるんです。
皇太子様は子供はお好きですか?」
「あぁ。好きだな。」
(まぁ!笑ったわ!
それにしても、さっきまであんな無愛想だったのに子供の話しになるとなんて素敵な笑顔を見せるのかしら。)
「私、子供を持つのが夢なんです。
それと幸せな家庭を築くことが。」
「そうか・・・・・・・・・・一つ聞いていいか?」
「なんでしょう?」
「お前はなぜ本当の心をここまで隠し通せた?
お前の一番身近に居る侍女たちまでだませているのはなぜだ?」
(この人読心術でも使えるのかしら?
明国の祖先の王たちは不思議な力があったといわれているけれど・・・・・・。)
「しらばっくれても無駄だぞ?」
「明皇太子はなぜ私が本当の心を隠しているとお思いに?」
「俺は人間観察が趣味でな、お前のような人間を何人も見た。
だがお前ほど上手に隠し通せているのには驚いたがな。
親にはバレていることが多いんだが。
おまえはどうなんだ?」
「親にはバレていませんわ。弟の蒼(そう)は私の本性を知っていますけれど。」
「そうか。それはいいことだな。だが子供が好きという言葉は嘘ではないだろう?」
「よく解りましたね。ですがあなたも子供が好きなのでわ?」
「あぁそうだ。子供は好きだな。
さぁ、これで話しは終わりだ。
戻っていいぞ。」
「はい。わかりました。」
「あぁそうだ。夕食のときに話しがある。
水王と水后も呼んでおけ。」
「わかりました。」
バタン
(バレるとは思わなかったわ。
これで明王妃にはなれなさそうね。残念だわ。
でも話しって何かしら?
もしかして明王妃になれるとか?
ありえないわね。
さて、じゃぁ次に金持ちの男のチェックをしておかなきゃ。)
前へ
|次へ
作品目次へ
ケータイ小説検索へ
新規作家登録へ
便利サイト検索へ
携帯小説の
(C)無銘文庫