《MUMEI》

 「痛っ……」

繩が躱に沈む不自由さはアルコールが廻ったような熱に似ている。


「痛い、じゃないだろう?」
床に転がされ肘と手首を強打した。
千石様に更に強く床に擦り付けられた。


「…………イッ……
 ……いい……っ です」

痛みと涙が滲む。
下唇を噛み締めて呻きを堪えた。



「……褒美だ。」

千石様が噛んだ下唇から出血した傷を嘗めて下さった。


「ふぅ…………」

ひくひく、
傷口から痙攣する。

背中は湾曲し、
足首は首に繋がり浮いて、浮く腿の下から恥ずかしい姿を晒される。
縛られた腕が、より腰を浮かべさせる。

渇いた躱に彼の膚が当たると期待をしてしまう。

痛いという信号は同時に彼を恋しくさせる。






指とは別の硬いものが押し入ってくるのを覚えた。

痛い のと、
気持ち良い の……

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