《MUMEI》
不意打ち
「…や、祐也」

「ん?…!?」


(もしかして、寝てた!?)

パシャパシャパシャッ!


「…ん?」


「撮った?」

「撮った!」


(…『撮った』?)











「こら! 祐! お前何撮った!」


やっと終わった安心感で、俺は意識を数分手放したらしい。


「まぁまぁ、祐也」


ヒョイ


(…今、頭に何か付いてたよな)


「志貴、今何隠した!?」

「お、ちゃんと撮れてる」

隣の志貴に気を取られているすきに、祐が写真を確認した。


どうやら、ポラロイドカメラで撮影したらしい。


「何やったんだ? お前等!」


「私達も言われて仕方なくやったのよ?」

「そうそう」


「誰に?」


言わなくても、何となくこの二人にこんな命令をする人物を俺は一人しか知らなかった。


しかし、同時に違ってほしいと思っていた。


「「誰って、お祖母ちゃんに」」


俺は、予想が当たり、期待が外れて思わずため息をついた。


そんな俺を、秀さんが正門まで迎えに来ていた。


秀さんの車は、俺の自転車が楽々入るので、有無を言わせない感じがした。

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