《MUMEI》

蓮翔ちゃんは打席の方へ向き直ると、仕切りにグローブの中にボールを握った手を置いて、持ち方を確認しているようだった。


キャッチャーの奴が何かサインを送っている様だが、一向に首を振るばかりで、全く承知しない。

キャッチャーはそんな蓮翔ちゃんに焦りを感じたのか、手を挙げて…


「タイムお願いします。」


そう一言うと、マウンドへ駆け寄って行った。


いつの間にか、他のポジションの奴等も蓮翔ちゃんのもとへ集まって来ている。


すると、このタイミングを見計らってか、誰かが俺に声を掛けて来た。


「君、もしかして、あの滝澤颯馬君かい?」


振り返ると、俺から一段上がった後ろの席で中年のおじさん二人が座っていた。


俺は思わず顔をしかめた。


何故なら、その人達は俺が最も嫌う、マスコミだったからだ。

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