《MUMEI》
果穂さんと二人きり
(き、緊張する)


高山家の居間は広い。


クリスマスイブの時は人数が多かったが、今は俺と果穂さんの二人きりだった。

(早く来てくれ〜、大志さん)


大志さんは、俺が断ったのに、飲み物を用意しに台所に行ってしまっていた。


「写真、見せて」

「は、ハい!」


俺は、どんな姿の俺が写っているのかわからない写真の入った封筒を渡した。


「あの、それから、これも…」

「ありがとう
? 二種類あるわね」

「あ、えっと…。小さい方が一応、手作りです」

「じゃあこっちは、大志が来たら三人で食べましょう」


果穂さんは、市販のクッキーの包装紙を破り捨てた。

そして、手作りの方は手元に大切そうに保管した。


(やっぱり手作りが一番なんだな)


俺は、心の中で祐に何度もお礼を言った。


「祐にお礼を言わなきゃね。こんな可愛い祐也を撮ってくれたんだから」


(祐のバカヤロ〜!)


果穂さんが俺に向けた写真を見て、俺は前言を撤回した。


そこには


何故か


猫耳を着けた俺が


眠そうな顔で写っていたのだ。


「可愛い、真っ赤」

「!」


確かに今、俺の顔は赤かった。

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