《MUMEI》
北風太陽夫婦
「ごめんね? ほらうちの家系って可愛い系男子いないから」


確かに、柊も祐も、その父親も綺麗系やかっこいい系だと思う。


ついでに、女性もほとんど…


「希先輩は?」


俺は高山家で唯一の可愛い系女子の名前を挙げた。


「女の子は、可哀想だから」


(男はいいのか!? しかも俺他人だぞ!?)


「まぁまぁ、いいじゃない」

「いいわけ…」


『無い』と言いかけた時


「果穂は、それだけ田中君を気に入ってるんだよ。
まぁ、ちょっと強引過ぎるけど、別に写真は誰かに見せる物じゃないから、安心して」


絶妙のタイミングで、大志さんがやってきた。


そして、笑顔でハーブティーを勧められた。


「果穂は、田中君に大事な話があったんだろ?」


(いや、俺としては猫耳写真の件が一番大事なんだけど…)


「そうなのよ」


そんな俺の心の叫びを無視して、果穂さんは写真をしっかりしまいつつ、話を進めてしまった。


(北風太陽夫婦には敵わないって事かな…)


俺は、心の中で白旗をあげていた。


果穂さんの話は意外な程真面目な内容だったが…


「無理ですよ!」


俺は思わず叫んでいた。

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