《MUMEI》
ツッコミ満載なやりとり
《猫耳…》

「そこを繰り返すな、そこを! もっといろいろ語っただろ」

《彼氏が普通反応するのはそこだ》

「あ〜、はいはい」


安藤先輩の為の恋人のフリだったが、安藤先輩が祐と別れた途端に別れたら不自然だという理由で、俺と忍の演技は続いていた。


《俺にはお返しは無いのか? チョコケーキ食べさせてやっただろ?》

「お前俺のクッキー食べただろ」

《あれはただの授業料だ》
「…何が欲しいんだよ」


俺はため息まじりに質問した。


《手作りの、食べ物以外の物だ。
あの、例の…春日さん達にもやるんだろう?》

(う…)


それは実は、俺の悩みの種だった。


春日さんがくれたのも、美緒さんがくれたのも、食べ物ではない。


手作りがいいのはわかったが、俺は何をしたらいいかわからなかった。


《ちなみに俺は… … …》


「そんな物作れるか〜!」

《春日さんは喜ぶだろうな。あと、もう一人も》


(う…)


《今は学校の図書館にもそういう本があるらしいな》
「本当か?」

《あぁ》


(でもなあ…普通、男が)


《じゃあ、できたら送れ》
「ちょっ! 待っ…」


忍からの電話はそこで切れた。

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