《MUMEI》 前立ち止まり、一歩も動こうとしない棗から感じる感情は、 紛れも無く『負』の感情だった。 でも、 怒り、悲しみ、憎しみ―… そのどれにも当てはまらないものだった。 ゆっくりと、棗の元に歩み寄る。 近づくたび、『負』の感情は、濃さを増していく。 立ちすくむ棗の数歩手前まで来たとき、 『負』の感情の正体が分かった。 ―…『恐怖』、だ。 棗は、荒い呼吸をしていて、顔色は蝋のように白く、 その細い肩を小刻みに震わせていた。 前へ |次へ |
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