《MUMEI》
途方に暮れる
翌日の放課後。


(ダメだ、さっぱりわからない!)


俺は、学校の図書室で頭を抱えていた。


とりあえず、忍が言っていたような本は想像以上にあった。


しかし、『初心者』『簡単』『やさしい』というタイトルが付いた本を読んでも、俺は全く意味がわからなかった。


「田中君? どうしたの?」

「希先輩」


今日の図書当番の希先輩が、俺の所にやってきた。


卒業間近で三年生は既に自由登校だったし、テスト期間でも無いから、図書室はほとんど人がいなかった。

(しまった)


その中で、頭を抱えている俺は、かなり目立っていた事に、俺は今気付いた。


(そうだ)


「先輩、こういうの作ります?」


恥をかいたついでに、希先輩に相談する事にした。


「ごめんね。私、こういうのはあんまり…

って、田中君、作るの?」

「何か、成り行きで…」


俺は、忍とのやりとりではなく、春日さん達からバレンタインにもらった物の事だけを話した。


「それなら、相田先生が詳しいかも」

「相田先生?」

「うん。先生よくそういうの着けてるし」


そして、俺は希先輩と司書室へ向かった。

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