《MUMEI》

ウソだろ……。


俺がホームランを打たれた……?


だって、ホームラン打たれたことなんて、一度も無いぜ…


チームメイトもみな唖然とボールの向かった先を眺めている。


野球グランドで俺のチームと観客席は時間が止まったように静かだった。


そんな中……


ザッ、ザッ、ザッ、


スパイクが地面を蹴り上げる音……


須藤だ。


須藤はホームベースを踏むと、ゆっくりとこちらへ向いてヘルメットを脱いだ。


そして、


「桐海蓮翔も大したこと無いなぁ!!」


気味悪い程ニヤリと微笑みながら、嫌味たっぷりに言った。


「滝澤颯馬も来なかったしね。

見捨てられたんじゃないの〜?」


更に追い討ちを掛けられる。


ズシリの俺の身体が重くなった様な気がした。


その時……


ガンッ!!!!!!


凄まじく大きな音が野球グランドを揺るがした。

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