《MUMEI》
目的地まで後少し
俺達が降りた駅は、想像以上に小さかった。


しかし、大半の女性が電車から降りたから、この駅で間違い無いと確信した。


「お、ちゃんと自動改札じゃん」


先頭の祐が感心したように言って、切符を通した。


それから、志貴・柊・俺・希先輩・葛西先輩の順に改札口を通った。


(うわ…)


ロータリーの真ん中にある桜の木は既に満開だった。

俺達の住む地域の桜はまだ蕾だったから、その光景に全員が息をのんだ。


「じゃあ、確認な」


葛西先輩の言葉に俺達は頷いた。


「俺は、写真撮りながら、祐と集合場所まで移動。
あと、すぐそこのカメラ屋も寄るから」

「私と希は、靴買って、挨拶してから行くから」

「じゃあ、俺は祐也と頑張って作るから」


と言うわけで。


葛西先輩と祐


志貴と希先輩


俺と柊は、それぞれ移動した。


「俺一人でも良かったんだぞ? 希先輩と行きたかっただろ?」

「う〜ん、でも、俺、男だし。… 俊彦さん、こわいし」

「そっか」

「うん。それに、希さんの分作るから大丈夫!」


(それにしても、こいつ目立つよな)


すれ違う人達は、皆俺達をチラチラ見ていた。

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