《MUMEI》
到着
「ここ、だな」

「だね」


俺達は、何度も入口の看板を確認した。


「中、女の子ばっかりだね」

「言うなよ。仕方ないだろ。



『アニバーサリー』は雑貨屋なんだから」


俺は、ため息をついて入口を開けた。


「いらっしゃい」


すぐにレジにいた愛理さんに声をかけられた。


(あぁ、ここでも目立つなぁ、こいつ)


柊は店内にいる女の子達に注目されていた。


「言っとくけど、俺だけが目立つんじゃないからね」

「は?」

「ファンクラブもあるのに、祐也は自覚無いよね」

「何だよ自覚って」

「うちの高校でも祐也、もう有名なんだよ?
『吾妻の姫』って」

「はぁ!?」


「ほら、そこの二人! 目立つんだからさっさと工房移動して!」

「「あ、はい」」


俺はいまいち納得しないまま、とりあえず店内の一角にある工房に移動した。


「「お邪魔します」」

「こんにちは。今日はよろしく」

「「こちらこそ」」


俺達は、工房にいた男性


愛理さんのいとこの有理(ゆうり)さんに頭を下げた。


今日は、ビーズ職人の有理さんに、アクセサリー作りを教わる為にここまで来たのだった。

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