《MUMEI》

「はあ?!!」


一斉にチームメイトの声がハモった。


「何言ってんだ?この状況で!!」


「蓮翔…とうとう気でも狂ったか…。」


「…自制心をもて。」


「だー!!!もうっ俺ってそれ程信用ねぇのかよっ!!」


「ん?本当なのか??」

セカンドの山村が眉を吊り上げて俺に問う。


「本気も本気、大本気!!!」


「でも俺、そんなの聞いて無いぞ。」


豪田が不満気に俺を見つめる。


「うん。だって俺、みんなに隠れて練習してたから。」


「えっ、それ使えるのか!?」


「うん、たぶん…。」


「実践したことないんだろ。」


さすが新道、鋭い。


「ちょっ、おまっ大丈夫なのか?!」


「大丈夫大丈夫!!」


「でも……」


「おーい、君達、まだかーい?
試合続行するぞ!!
早く位置につきなさい!!」


「ほら、審判待たせちゃ不味いっしょ。


あ、サインはこれな!!」


俺は豪田にグローブで隠すようにして、決め球のサインを決めると、みなに元の位置へ付くよう促した。


皆、渋々それぞれの自分の位置へ戻って行く。


そして…

「プレイっ!!!」


審判の掛け声と共に、試合が続行された。

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