《MUMEI》 千秋さんはいつか 本当に好いた誰かを見付けられることが出来れば千石様の気持ちを理解し合う事が出来るのかもしれない。 その日が来るまで私は見守ろう。 「新井田さーん……調理実習でチーズケーキ作ったんでこれ……。」 明石君がまた来てくれた。 「有難うございます」 最近、よくチーズケーキを貰っている気がする。 「今日お休みした千秋様の分も有るんです。」 千秋さんの話をする彼は生き生きしている。 「あ、美味しい……明石君才能あるねえ。」 今まで貰った中で一番美味しい。 「千秋様が食べてくれるといいなって思います。」 健気ないい子だ…… 髪は毛先までほあほあで、触るとくせになる。 「きっと、食べてくれますよ……」 「でっ……、 出来ればそれで“千秋様”って呼ばせて頂ければって……!」 可愛い。 「千秋さんの名前の意味知ってますか?」 「いいえ。」 頭を振る。 「“センシュウ”で調べるといいですよ。」 明石君は千秋さんの大切なもの。 いつか、千秋さんの口から彼の過去が語られる日が来るだろう。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |