《MUMEI》 「びっくりした…どうしたんだよ」 パソコンを机の前に出した途端に、秋谷はでかい声を張り上げた。 「俺、宮と買い出し行かなきゃ!」 「もう帰ったぜ?」 「…え?」 そして、俺達は一旦コンビニへ行く。 「サイダー飲みたいなぁ…」 「子どもかよ」 「子ども?馬鹿言うな」 カゴを取り、一通り必要なものを取る秋谷。 意外と必要なものしか買わないんだなぁ。 「小銭持ってる?」 「あ?あぁ…少しくらいなら出せるぜ」 「よし間に合うな」 え?もしかして、予算間に合ってないの? 「終わったから帰るぞ」 秋谷はそそくさと店を出る。 「ま、待てよ!」 俺は慌てて秋谷の後を追いかけて行った。 「ハァ…疲れた」 「遅いぞ龍也」 「ごめん」 秋谷は歩く姿さえもカッコイイ。 「…どうして俺を選んだ?」 「え?」 秋谷は買い物袋を背中へ回す。 「お前だって…好きな女が居ただろ?」 半分投げやりな口調で話す。 「気にすんな。俺はお前だけだ」 「宮が好きなんじゃねぇの?」 その時、俺は秋谷に頭を叩かれた…少し痛かった。 「痛いな!何するんだよ!」 「…お前があまりにも可愛い事言うからだよ。馬鹿」秋谷の顔は赤面になっていた。 (…可愛い?) そして、俺達は別々に離れてそれぞれの家へ帰った。 俺は自分のアパートの部屋の鍵を回し、靴を脱いで入る。 「…秋谷…」 自分の部屋に入り、ベッドの上に横になった。 (宮が好きなのに…でも、秋谷はそれをきっと許さないだろう…) 「宮…!」 翌日― 俺は朝からトーストを食べ、スープを飲み干し、歯を磨き大学に行く。 「!秋谷」 「おう、おはよう」 「元気?顔色悪いぞ?」 これで授業を受けるとなると厳しいのではと…俺は心配する。 「大丈夫」 確か秋谷には喘息の病気を持っている。 もしかして… 「セキは?」 「してる…昨日から」 「風邪だったらいいんだけどな」 俺達は教室に入り、そのまま半日を過ごした。 前へ |次へ |
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