《MUMEI》
ホームルームが終わり、休み時間になった時、秋穂の周りをクラスの女子が囲んでいた。
その中には、春と奈々もいた。
みんなで秋穂に色々質問している。
そこから少し離れた場所で、周哉と昇はその光景を見ながら話していた。
「見れば見るほどそっくりだ。ほんとにすげー偶然だよな」
昇にそう言われて、周哉は改めてよく秋穂を見た。
(本当にそっくりだよな。何でだろ?)
「そういえばさ、実は新しい母親の方もヤバいんだよね」
「そっちは、お前の母さんに似てたとか?」
「いや、そうじゃないんだけど・・・。まあ、見れば解るさ」
「何だよ?言えよ」
「凄い若く見えるんだよ。あ、そうだ。今度うち来いよ。そん時見れば良いじゃん」
そんな風に二人が話していると、秋穂を囲んでいた女子達が急に騒ぎ出した。
周哉と昇がそっちを見ると、女子の一人が周哉の所に来た。
「ねえ、高原君。ちょっと良い?」
「良いけど、何?」
「高原さんと兄弟になったって本当?」
「うん、まあね」
周哉がそう答えると、
「本当なんだ、ありがと」そう言って、その女子は戻っていった。
「何だ?今の」
周哉がそう呟くと、
「さあな。あ、先生きてんじゃん」
昇はそう言って自分の席に戻っていった。
周哉も席に着いた。
秋穂はまだ他の女子と話していた。
(一限目の数学テストじゃん。やだなー)
朝からやる気の起きない周哉だった。
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