《MUMEI》

しずか君を待っている間、僕はふと空を見上げて物思いに耽った。



「――…あれは一体なんだったんだろう……?」


そんな独り言を呟いてみる…。



リュークは、昨日からプッツリと姿を見せていなかった。



もしかすると、あの死神との遭遇は、タチの悪い白昼夢だったのかもしれない――…。



そんな思いすら抱かせるような、晴れ渡った秋空の下で――…



僕の中にある死神……リュークの記憶が、まるで絵空事のようにリアリティを失ってゆく…。

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