《MUMEI》 運命藤堂(とうどう)家の男に生まれた時から、俺・忍(しのぶ)の運命は既に決まっていた。 父も、祖父も、その前も 藤堂家に生まれた男は全て同じ道を辿っていた。 だから、俺も、その道を 春日(かすが)家の執事になる道に進む事になった。 そして、俺は物心つくと同時に、将来仕えるべき主の名前を覚えた。 『春日 也祐(なりひろ)』 歴代当主の中でも、優秀な部類に入る素晴らしい人物だと、父は語った。 毎日毎日、熱く語った。 その為、幼い俺の頭の中では也祐様は 旦那様は 神様のような存在になっていた。 俺が初めて神様と対面したのは三歳の時だった。 神様は、十三歳で、普通なら中学生のはずだが、普通じゃないから、既にアメリカの大学生だった。 その出会いは 俺にとってはいろいろな意味で衝撃的だった。 一生忘れられない 強烈な出会いだった。 その日は、神様の誕生日を祝う為に、春日家の親戚一同が本邸に集まっていた。 そして、俺も神様を一目見たくて、父に頼んで普段生活している使用人専用の屋敷から、本邸に来ていた。 前へ |次へ |
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