《MUMEI》 遅れて到着「なぁ、今そこでものすごい勢いで逆走してる希と柊に会ったんだけど… 何してんだ? あの二人」 「う〜ん、あえていえば… …青春?」 どう言おうか迷っている俺の隣で志貴が答えた。 「そっか」 (あ、納得した) そして、遅れてやってきた祐は、もう一つの疑問を口にした。 「で、何で祐也はこんなに注目浴びてるんだ?」 「そ、れは…」 「話は『クローバー』でじっくり聞きましょうか」 葛西先輩の後ろから、女性の声がした。 「瞳さん」 「さあ、皆。通行の邪魔だからさっさと入って」 葛西先輩が名前を呼ぶと、瞳さんは 演劇部の劇の台本にあったように、皆にテキパキと指示を出した。 数分後。 俺達と、商店街の、いわゆるいつものメンバーと呼ばれる人達は、『クローバー』の店内に着席していた。 ただし、その中に妊娠中の蝶子さんと、その夫の俊彦さんはいなかった。 それから、瞳さんの判断で、何人かいた子供達は、着物の可愛らしい女の子を先頭に、皆家に帰っていった。 (小さいのに、しっかりしてるなあ) 俺は呑気に感心していた。 それから、最後の一般客が店を出ていった。 前へ |次へ |
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