《MUMEI》 『何だ、経過報告か?』 数日ぶりの私の主の声だ。 「……はい、 解毒薬は処方しております。それに……此処へ千秋さんを通わせて正解だったと思います。」 『用が無いなら切るぞ』 素っ気ない声色に見せながら安堵している。 「千石様、私は変わらぬ愛と忠義を誓います。」 『当然だ。 ああ、そういえば新しい荷物が届く頃だ。』 冷静にものを言うが千石様の送られてくる物で良い想い出はあまり無い……。 「千石様、そういう物は仕舞うのに困りますから極力二人だけでお会いする場合にゆっくりとして頂けると……」 忠告という名のお願いである。 『モモが壊れるだろう? 私のものが私から離れていても健在か調べるのは普通のことだからな。』 世界を渡り歩く千石様は離れている私のことを何より気にしていらっしゃる。 「どうしても気になったら私は何処へでも飛んで行きますから。」 心配せずとも私は千石様だけの隷です。 『じゃあ、明日直ぐ発て』 「分かりました。何処へ行きましょうか。」 地の果てでも何なりと申し付け下さい。 貴方に要求されることが、欲求されることが私の生き甲斐です。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |