《MUMEI》

「みてーじろー!舌に色着いたー!」

ベロを出しながら七生がこっちに駆けてくる。


「うわ、本当にすいません。七生、御礼ちゃんとして!」

行儀悪い子に育てた覚えはありません。


「おっさんありがとう」

コラーーーーーーーー!


「はははははははははは、いいってことよ。」

かなり傷付いたようで江戸っ子な語尾になっている。
声とかはおっさん程老けてないよ!多分、話し方とかは宗方さんの方が年上っぽいよ!


「僕ちゃん達も飴ちゃんドーゾ?おっさんの奢りだし気にせんで良しとする。」

僕ちゃん……。
完全にるりちゃんのママは此処に居る全員をお子様としているようだ。
おっさん扱いされた人も完全に面白がられている。

るりちゃんのママが俺達にも飴をくれた。
七生と宗方さんは青
俺と乙矢は赤

七生があんまり美味そうに食べるのでつられて封を切るが思いの外多い……

「じろー舌見たい舌!」

七生にせがまれべーっとする。

「おお、赤ーい!」

手を叩いて七生は喜んだ。
舌の色の移りを見て嬉しそうなのは謎だ。

「じろー、青いのと赤いの食べたら色混ざるかな?」


「え、食べたいの?同じじゃないそういうのって。」

他人の芝は……か?舐めさしの飴を七生に餌付ける。


「ん〜〜〜〜……」

七生はあろうことか俺の唇目掛けて来た。


「飴を食え飴を!」

乙矢バリヤーを使用。

「か弱い赤ん坊と眼鏡を盾にするなんてヒキョーだぞ!」

乙矢の周りを追いかけ回される。


「あは、かわえーね?」

宗方さんは早々と舐め切ったらしい飴の棒を持て余していた。
いつもこんなんだとバレると恥ずかしい……!


「青と赤混ぜたら紫なんだよ、ね?」

宗方さんは俺に教えてくれていたが最後だけ乙矢を見ていた。
乙矢は飴の棒に反応する三葉ちゃんを見ていたが、宗方さんの言葉で飴を噛み砕く。
ゴリゴリと歯ごたえの良い音がした。

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