《MUMEI》
説明して欲しい
   〜海視点〜


麗羅チャンの言葉を遮り、元気に挨拶をする女の子――北川 真星を見て俺は目を見開く。


俺の驚いた顔を見たからか、北川 真星は


「あっごめん。話の邪魔しちゃったかな・・・」


っと遠慮がちにいい、視線を下に落とした。


「そんなことないよ!


じゃあ紹介するね!」


麗羅チャンは、北川 真星の発言にフォローを入れ、俺のことを紹介した後に北川 真星の紹介を始めた。


簡単な紹介が終わると、北川 真星は


「青浜くん、よろしくね」


っと言って笑顔を浮かべた。その笑顔は苦笑いに近くて、何だか違和感を感じる。


あぁ、よろしくっと軽く返事を返すと北川 真星は、会釈をして自分の席に向かった。


何で麗羅チャンと北川 真星が仲良さげにしているのか、説明して欲しかったり・・・っと俺が思っていると


今度は控え目に教室のドアが開き、誰かが教室を覗いたかと思うと、そ〜っとドアが閉まった。


"何してるんだ、あいつ"


俺は不審に思いながら閉められたドアを見つめる。


しばらく経ってもそのドアは開けられず、磨りガラスから怪しい動きをする影が見えた。


しまいには、頬をビンタしていると思われる音まで聞こえてきた。


"本当に何やってるんだよ!?"


痺れを切らした俺は、廊下で不審な動きをする影に声をかける。


「何してるんだよ!歩!!」


すると廊下の影は、一瞬ビクッと肩を震わした。


カラカラ――っと静かに開けられたドアから不審な動きをしていた男――歩がひょこっと顔を覗かせた。


「あ・・・アハハ・・・・・はは」


そして不自然な笑いを零しながら、歩が近づいて来る。


「・・・・・おはよう」


歩が挨拶をすると、麗羅チャンはプイっと顔を横に背け小さくおはようっと返した。


歩はまた不自然な笑いを零しながら、じゃあっと言って自分の席に向かう。



・・・・・何この空気!?


昨日1日で何が起こったんだよ―!


誰か説明して――!!

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