《MUMEI》
お祝い
「『お祝いするから降りてきなさい』って」

「「お祝い?」」


俺と志貴は揃って首を傾げた。


(今日、何かあるのかな?)

商店街の人達は、俺達のやりとりに驚いて集まっただけだと思っていた。


「私達、お邪魔じゃないんですか?」

「何言ってるの!?」


志貴の言葉にせいこさんは目を丸くした。


そして、戸惑う俺達を急かして『クローバー』に戻った。


「あ、やっと来た。はい」

厨房の中で、俺達はオレンジジュース、せいこさんはシャンパンの入ったグラスを咲子さんから手渡された。


「…何事?」


絶句する俺の隣で志貴が呟いた。


(この配置、確か…)


先程と違うホールの配置は、劇の中でよく出てきた。

それは、『クローバー』でイベントを行う時の形で


主役のポジションには、何故か、柊と希先輩がいた。

「それでは、乾杯の音頭は祐から」


(いつの間に呼び捨て?)


驚く俺の目の前で、瞳さんに指名された祐がコホンと咳ばらいをした。


「え〜、本日はお忙しい中、妹とその彼氏の為に…」

「「堅苦しいの抜き!」」

祐介さんと勇さんがツッコミを入れた。


「あ? やっぱり?」


祐が舌を出した

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