《MUMEI》 ヘタレ卒業「んじゃ、改めて。 希、初カレゲットおめでとう! そして、柊! ヘタレ卒業おめでと〜!」 真っ赤になってうつ向く二人を見ながら、『おめでとう』と言う声と、グラスを合わせる音が響いた。 「そういうお祝い?」 「みたいだね」 「とりあえず、やっとく?」 志貴がグラスを近付けてきた。 (やっとくか) 俺は、志貴とグラスを合わせた。 「で、行っとく?」 (行っとくか) そして俺達は、柊と希先輩にお祝いの言葉を述べる行列の最後尾に並んだ。 「…お疲れさま」 「祐也、おめでとうが先!」 (しまった、つい…) 志貴に言われて俺は改めて二人に『おめでとう』と言った。 「…ありがと」 「祐也のおかげだよ〜」 「お〜い! また誤解されるぞ」 俺に抱きついてきた柊を、祐が茶化した。 「もうそんな心配無いよ。…ね?」 どうやら柊は本当にヘタレを卒業したらしい。 「つまんない」 余裕の笑みを浮かべる柊に、志貴が本音をぶつけた。 「ごめんね、ラブラブで」 柊は、俺から離れて希先輩の肩を抱いた。 (…俊彦さんと蝶子さんみたいだな) 二人を見てそんな風に思った 前へ |次へ |
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