《MUMEI》
和馬さんと孝太さん
「頭のネジ飛んでる感じも俊彦に似てるのか」


(えっと…茶髪にピアスだから、和馬さんか)


隣で深く頷いているのは、さっきまで麗子さんと一緒にいたから、孝太さんに間違いない。


「劇見てたから、覚えやすいな〜」

「…だな」


一度しか見ていない葛西先輩もわかる位、商店街の人達は台本に近かった。


「でも、あの人はわからないかも」


志貴が指差したのは、着物姿の薫子さんの隣にいた美女だった。


「あれはね、俺の奥さん。だよね、孝太義兄(にい)さん」

「…呼ぶな」


和馬さんが志貴に説明すると、孝太さんはものすごく嫌そうな顔をした。


「つまり、孝太さんの妹さん?」

「正解!」

「琴子(ことこ)だ」


志貴の言葉に、和馬さんは嬉しそうに、孝太さんはクールに答えた。


(何か、孝太さんて…忍に似てるかも)


「…何だ?」

「あ、いえ…」


「駄目だぞ、祐也。浮気したら忍さんが泣くぞ」

「何バカ言ってんだ!」


(シャレにならないんだぞ! お前のせいで)


祐の言葉を聞いた孝太さんは、俺から逃げるように慌てて麗子さんの所へ行ってしまった。


そして、和馬さんもそそくさと行ってしまった。

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