《MUMEI》
尋問
(何か、汗かいてきた)


人口密度が高いホールではあるが、さっきまではこれほどの圧力はかかっていなかった。


「ホワイトデーの時だよな」


口を開いたのは祐だった。

「何、言われたんだ?」

「別に」

「言えないの?」

「友達の俺でも?」


続いて志貴と柊も口を開く。


「…無理だって、断ったし」

「お祖母ちゃん、また無茶な事言ったのね」

「そ、そうなんです! 俺には無理なんです」


希先輩の優しい口調に救われたような気がした。


「強引でごめんなさい。無理な事頼むなんて、酷いわよね」

「あ、酷いというか、びっくりした方が強いです」

「昔っから、そうなの」

「みたいですね。秀さんも志穂さんもやられたって…」


「母さんも?」


(しまっ…た?)


祐が聞き返してきたから、確認したが、祐はよくわかっていなかった。


「ふうん…」


希先輩は、何か考え込んでいた。


「…?」


ヘタレを卒業したばかりの柊は全く気付いていなかった。


「祐也」

「な、何? 志貴」

「祐也の候補じゃないわよね」

「違う違う! 俺じゃなくて!」


(ダメだ〜、もう!)


バレるのは確実だった。

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