《MUMEI》 宣言「おれが」 「『俺が』?」 「だめなあるじだったら、おれがそだてる!」 「…育、てる?」 男が目を丸くした。 「そうだ! それでもだめなら」 「ダメなら?」 「あやつる!」 「あ…」 男は絶句した。 俺は、我ながら父の教えの通りに言えて、かなり満足していた。 「だから、おれはしつじをやめない!」 「… … 参った」 ふんぞり返る俺の目の前で、男は両手を上げた。 「まいったか! このサル!」 「…サルって… まぁ、いいか。 参りました。 忍君は、立派な藤堂家の執事です。 じゃあ、サルはまた木に登ります」 「おぅ!」 宣言通り、男は サルは、木に登り、また三階の窓に飛込んだ。 「忍〜 どこだ〜!」 (しまった) サルにかまっていたら、パーティーが始まってしまう。 「すみません」 「大丈夫だ。まだ、也祐様もいらっしゃっていないから」 「でも…」 大きな会場には、既にたくさんの人が集まっていた。 「それに、旦那様もまだだ」 確かに、いつも早めに来ている社交的な父の主の姿もまだ見えなかった。 どうやら、今日は体調が思わしくないらしい 前へ |次へ |
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