《MUMEI》
03
「お前さ、1人でやってけんのかよ」

去年の春先。
今朝引っ越し業者から送られてきた段ボールから荷物を取り出しながら弟は言った。

生まれて来たときから私のことをお前、とか杏とかいう。ほんといい加減、お姉ちゃんっていって欲しい。
「何が?」
「杏が1人で暮らしてんのとか全然想像できねぇもん」
ちょっと寂しそうな顔して言うもんだから
「たまには来ていいよ」
って言ったら
「誰が来るかよ」

「お姉ちゃんが居なくなってさみしい?」

私のにやけた顔を見て
「気色わりー」
だって…。

そういえば今日から私はここで1人ぼっちでいきていくんだね。
家に帰っても誰もいないし大好きなお母さんのハンバーグもなかなか食べられない。
当たり前だけど改めて1人暮らしってことを実感。
次々と片付けられていく荷物をみて急に切なくなった。
カーテンレールに掛けられたスーツをみて、私はもう大人なんだなと感じた。
あんまり高校の制服は気に入ってなかったけど、なんか愛着があったから持って来てしまった。

スーツの横に制服を掛けた
「あんたそんなもの持って来てどうするの」
お母さんはちょっと笑ってた。
「もう制服着れないのね、凄く似合ってたのに。杏が生まれて今年で19年なんて考えられないなあ」

「早いと思う?」
「何が?」
「私が生まれてから今まで」「めちゃくちゃ早かったよ。あんな甘えん坊の赤ちゃんが今日から1人暮らしするんだから」

お母さんもなんか寂しそうだった。私今でも甘えん坊だから。すごい頻繁に地元に帰るだろうけど。

私も家族や地元の友達と離ればなれなのはすごくさみしいし不安だけど、ちょっとだけワクワクしてる。

どんな明日になるんだろ?これから先、何が私を待ってるのかな。

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