《MUMEI》

「珠緒君、千秋なんかの命令なんて聞かなくていいんだよ!」

うわ、志島螢だ。
百歩譲って志島螢が氷室様の長年の御学友として、親しくしているから名前で呼べるのは許そう、
しかし、
何故明石珠緒を庇う!


しかもその首のコルセットはなんだーーーーーー?!


「あ、無理しないで座っていて螢さん。」

明石珠緒……いつの間にあの志島螢を仲間に引き入れていたんだ……!

恐ろしい子……!


「そう、座れ。」

氷室様はあろうことか、志島螢のコルセットを握る。


「…………っい、 らららららら!」

絶叫しながら無理矢理明石が譲った席に座らされる。

ず……狡い……
その、首のコルセットが氷室様の握力を吸い寄せているのかああああ……?!

僕だって関節の一つや二つ捧げますよ……!


「氷室様、僕、買い出し行きたいです!」

思い切って口に出してみた。
やだあ、僕ったらダ・イ・タ・ン。


「お前は……」

ああ、氷室様が眉をひそめている。
僕の名前なんか頭に無いみたいだ。



…………素敵です!

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