《MUMEI》
試合終了
「ストライクっ!!

バッターアウト!!!」

最終回の裏……


俺は既に相手チームの一人目の打者を打ち取っていた。


残り2アウト……


次もこの決め球で仕留めてやる!!


そう意気込んでいた時、


物凄い嫌な視線を感じた。


打席の方へ視線を向けると………


須藤が物凄い形相で俺を睨み付けていた。


「行けぇ〜須藤!!」


「カッ飛ばせ〜!!」


相手軍は成す術なく、期待を込めて須藤を応援しているだけだ。


そんな声援を送られながらも今も尚、あの形相を一変させようとする様子は伺えない。


ただ、ひたすらずっと…俺を睨み付けている。


まるで殺意に目覚めたように……


俺は全身に寒気が伝わるのを感じた。


き、気負いしては駄目だ。


そう自分に言い聞かせる。


そうして遂に須藤との対戦を迎えることとなった。


キャッチャーの豪田が、あの決め球を投げろ、と指示を出してきた。


しかし、俺はそのサインを見た瞬間、妙な胸騒ぎを覚えた。

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