《MUMEI》

「あ、あっ…」

そして、俺と秋谷は二人のイき声が見事に重なり、果てた…

「秋谷…ごめん、怖がったりして…」
「いいよ、最初のうちは誰だって怖がるものさ」
秋谷の左腕が俺の頭の下にあった。
少し、汗臭い。

「…こんなに疲れるものなのか」
「そうか?俺は全然疲れてないぜ」

…やっぱり体力あるな。

「しかし、あんなに喘ぐお前も…いいな」

変態だろ!? 男同士で…

「好きになったものは仕方ないか…」
「ん?どうした?」

俺は慌てて訂正する。

(聞こえてたのか!)
「い、いや!」

「なんだよ…今日龍也おかしいぜ?なんかあったのか?」

「…ちょっと、用事を思い出した」
きっと離してくれないだろうな…

「そっか、仕方ないな…」
「え?俺を離してくれるの?」
思わず顔が笑顔になった。

「…龍也?」
「なんだよ」
「試しになんの用事か言ってご覧」

やばい!これは…
俺は起き上がり、顔を上に向ける。

「とにかく、今日バイトが入ってんだ!じゃあな!」
そして、着替え、そそくさ荷物を持ち、出て行った。
(…おかしいな)


町を歩きながら、宮に会いに行く。

「宮〜!」
「…なんだ、龍也じゃないの」
「今日ごめんな、急に呼び出して」
「全然いいわよ」

そして、俺と宮はまた別の住宅街へ入った。


「私の家に来るなんて珍しいわね」
「いや…こういうの、古い仲のお前にしか頼めないからさ」

あまりにも気持ち悪いので、宮に仮の恋人を頼んでいるのだ。

「ねぇ、龍也」
「うん?」
「私…後でアイツに怒られないかな?」

アイツとは、秋谷の事か?
「ハハハ…なんとかなるさ。第一、男同士で付き合っている事事態がおかしいんだから」
好きだけど、どこか違う。住宅街の中の公園に着いた。

「…嫌いなら別れたら?」
「いや、その前にアイツを存分に満足させたら考えよう…別れたりしない…」

宮は手すりに座り、不機嫌そうな顔をした。

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