《MUMEI》
ブランコ
昌は正平の背を押す。正平は足をバタつかせて喜ぶ。
「兄ちゃん!もっと!もっと高く!」
…ギィコ ギィコ
青いブランコに赤いシャツを着た正平はよく栄えた。
「学校どうだ?」
「どう〜?学校のことは、わからないよ。どうは知ってる。三番目。」
「その銅じゃないよ」
昌は吹き出した。
「正平は、楽しい?毎日」
「楽しいよ!ブランコ!あとねー、友達と遊ぶのでしょ、あと兄ちゃんのバルタン星人のモノマネ!」
「よく友達と何をして遊ぶの?」
「鬼ごっこ!兄ちゃんは?学校は楽しい?」
「普通だよ。今が一番楽しいかな」
ブランコの速度は徐々に減速する。正平まだ漕ぎたいと駄々をこねたが、暗くなって迷わないうちに昌は家に戻りたかった。
いや、戻らなければいけなかった。
前へ
|次へ
作品目次へ
ケータイ小説検索へ
新規作家登録へ
ケータイ小説サイト!
(C)無銘文庫